2人の大ベテランに聞く、300周年を超えて継承したいこと
2人の大ベテランに聞く、300周年を超えて継承したいこと

中北薬品が創業したのは、江戸時代中期の1726年。現在の名古屋市で油屋としてスタートした中北薬品は、のちに人びとの健康に欠かせない医薬品を扱う企業へと大きく発展を遂げ、300年という歳月を重ねてきました。この長い歴史のなかで、いつの世も変わらず私たちが重んじてきたのは、人と人とのつながりです。ここでは、社会が大きく変化した20世紀末から21世紀初頭にかけて現場の第一線で活躍し、まさに中北薬品の理念を体現してきた2人の大ベテランに、若手社員たちが未来に向けて受け継ぐべきことをうかがいました。
PROFILE
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監査役
佐藤 武雄
1973年入社。名古屋市内の営業所で医薬品営業に携わり、松軒支店、岐阜支店の支店長を歴任。その後、医薬本部医専部の部長を務め、2004年より監査役として中北薬品の経営の一角を担う。
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営業
林 初郁
2025年入社。地元の愛知県に本社があり、いろんな人と関わりながら自分も成長できる企業として中北薬品を志望。現在は岐阜大垣支店にて動物用医薬品を担当。
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営業
中西 康介
2020年入社。大学時代は理系で研究職を志していたものの、人と接する営業職に適性を感じ、中北薬品の雰囲気の良さに惹かれて入社。現在は岐阜大垣支店に所属。
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営業
飯沼 由衣
2023年入社。両親が医療に携わり、コロナ禍で懸命に力を尽くす姿を見て医療業界を志し、地元に密着した中北薬品に入社。現在は松軒支店にて動物用医薬品を担当。
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営業
柴山 美帆
2022年入社。大学時代に管理栄養士の資格を取得し、栄養の知識を生かして医療に貢献したいと中北薬品を志望。現在は松軒支店にて産婦人科向けの営業を担当。
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営業
湯浅 敬司
2024年入社。愛知県出身で地域に貢献できる仕事、多くの人の健康を支える仕事がしたいと中北薬品を志望。現在は天塚第三支店にて医療機器や試薬の営業を担当。
医薬品を売る前に、まず自分を売る
私はまだMS(医薬品卸販売担当者)としては駆け出しで、支店の上司や先輩方にサポートいただきながら、動物用医薬品の営業活動に取り組んでいます。佐藤監査役も長年、医薬品の営業を手がけて実績を上げてこられたとのことですが、私のような若手の頃、どのようなことを心がけていらっしゃったのでしょうか。

私は文系出身で、入社した時は医療に関する知識などまったくありませんでした。ですから、一人前になるためにはまず医薬品についてしっかり理解しなければと、扱う商品について一生懸命勉強しましたね。学んだことを医師の先生方にお伝えすると「まだ新人なのによく勉強しているね」と褒めてくださって、仕事への意欲も高まった。でも、知識を身につけるのは営業として当たり前のことで、よく先輩から言われたのは「商品を売る前に、まず自分を売りなさい」ということでした。
「自分を売る」というのは、私も先輩方から学んだことです。営業を始めたばかりの頃は、担当する病院数も少なかったので、とにかく週に何度も訪問して自分のことを覚えていただこうと。最初はお客さまから「中北さん」と会社名で呼ばれていたのが、「飯沼さん」と名前で呼んでいただけるようになり、その時は「私のことを認めていただけた」とうれしかったですね。
そうして、自分という人間を買ってくださるお客さまを増やしていくことが、結果として売上の拡大につながっていくのだと思います。自分を買っていただくためには、お客さまにとって私が価値のある人間だと思ってもらわなければならない。お客さまが必要とされている医薬品をご提案するだけではなく、先生が何かお困りごとを抱えていないかと訪問するたびに探り、どうすればお客さまの役に立てるか、一生懸命考えて行動していた覚えがありますね。お客さまの懐に入り込んで「佐藤は面白いやつだ」と思っていただければ、それからずっと人と人とのお付き合いが続いていくんですね。

私も医薬品を営業するうえで、自分を買っていただこうと努めていますが、そのためには何か付加価値を提供しなければと思っています。昨今、医薬品の流通不安が起こっていますが、SNSなども駆使して最新の情報を収集し、お客さまのご要望に対応できる見通しなどをお伝えすると、とても安心していただけます。自分なりにこうした取り組みを重ねて、お客さまからの信頼を高めているところです。
それはとても良い取り組みですね。私が現役だった頃とは業界のルールも変わっているので、営業の進め方も変わっています。でも「商品を売る前に自分を売る」という営業の基本は、いつの時代も変わらない大切なこと。中北薬品では、担当するお客さまに関しては営業担当者に裁量が委ねられているので、自分を売り込んでお客さまから評価いただくために何をすべきなのか、一人ひとりが考えて行動していく集団であってほしいですね。
いつまでもお客さまとつながる喜び
私はいま医療機器の営業を担当していますが、経験を重ねて大手の病院の担当を任されるようになり、目標も大きくなってきました。お客さまと信頼関係を築いて新しい機器を導入していただこうと努力しているところですが、監査役も大きな目標を抱えて営業に取り組んでいらっしゃったかと思います。目標達成へのプレッシャーはありませんでしたか。
私はむしろ、高い目標があるほうが仕事へのモチベーションが上がりましたね。自分に課せられた目標をきちんと果たし、お客さまからの信頼の証である実績を上げていくことが、中北薬品の発展につながっていくのだと若い頃から意識していました。もともと私は負けず嫌いなタイプなので(笑)、目標を達成できずに競合の医薬品卸の後を追うのがとても悔しかったですし、結果を出して社内からも社外からも認められたい、という気持ちが原動力だったように思います。

佐藤監査役は若手で支店長に就任されて、新しい支店の立ち上げにも尽力されたとうかがっています。私も中北薬品でキャリアを積むからには、将来はぜひ支店長になって自分で組織を率いてみたいと思っています。監査役は、早くから支店長を目指されていたのでしょうか。
ええ。支店長になることも自分自身の大きな目標にしていました。支店運営は支店長の意思に委ねられるので、中北薬品が目指すべき姿に向けて、存分に采配を振るうことができます。そうして支店長時代に業績を上げ、取引メーカーから表彰されたり、海外の医薬品業界を視察する研修会に連れて行っていただいたことも。中北薬品でのこれまでを振り返ると、本当にいろんな経験を味わい、とても充実した人生を送ることができたと感じています。
努力して自分が掲げた目標を達成することはもちろんですが、私は自分の仕事を通して、お客さまに貢献していると実感できることにも大きな喜びを覚えています。入社以来、私は産婦人科を担当していますが、新しい命の誕生を支えていく素晴らしい仕事であり、医師や看護師の方々とも現場でそうした感動を共有し、お客さまとの関係性がますます深まっていると感じています。

そう。この営業のいちばんの醍醐味は、お客さまと深くつながって苦楽をともにできることだと思いますね。そして、一度しっかりと築き上げた信頼関係は、年月を経てもずっと続いていく。私は営業の現場から離れてしばらく経ちますが、過去にお付き合いがあり、すでに亡くなられた名医の先生の法要に、いまでもご遺族の方からお招きいただいています。そこまでお客さまとご家族の方々に認められて、長くお付き合いいただけるのは営業冥利に尽きますね。
私もこれから監査役のようなキャリアを積み重ねていきたいです。お話をうかがって、この営業には人と人とのつながりが大切だとあらためて感じましたので、いつも誠実であることを心がけて、多くのお客さまと良い関係を築いていくことができればと思っています。
林さんも、ぜひ自分で考えて行動することを意識してほしいですね。やりたいことを積極的にアピールすれば、きっと上司もご自身の意欲を受け入れてくれるでしょうし、中北薬品での毎日を存分に楽しんでほしいと思っています。
中北薬品を動かすのは、地域を思う個の力
中北薬品は300年にわたって地域の健康を支えてきた企業であり、その一員であることを誇りに思っています。いま私は産婦人科の領域で専門性を磨いていますが、お母さまとお子さまの健康にもっと貢献できるよう、幅広く医薬品の知識を高めていきたいと思っています。
いま柴山さんからお話がありましたが、中北薬品が300年間も企業として存在し続けることができたのは、社員一人ひとりの個の力によるところが大きいと思っています。ここに集う誰もが地域の健康に貢献したいという思いを持ち、お客さまや取引先などいろいろな人とつながりながら、それを実現していこうとしている。私も入社した当初はそれほど意欲の高い人間ではなかったのですが、ここで経験を積むうちに地域への思いが強くなり、自分ができることを大きくするために、もっと上のポジションに就きたいと思うようになりました。おそらく、私のように中北薬品で働くことで自分が変わった社員は、他にもたくさんいるのではないでしょうか。

私ももっといろんなことに挑戦していきたいという気持ちが湧いています。中北薬品は女性がたくさん活躍し、仕事と家庭を両立できる環境ですので、将来、結婚して出産し、育児が落ち着いたらチームのリーダーを務められればと思っています。最近、女性の後輩たちが各地の支店でみながんばっているので、彼女たちのお手本になって会社を盛り上げていきたいですね。
女性社員のみなさんがさらに活躍すれば、中北薬品はいっそう元気になるでしょう。みなさんがお持ちの個性を大いに発揮して、チームを引っ張ってください。
私もリーダーを目指しています。いま私が所属している、医療機器や試薬を扱うチームは若手が中心なのですが、年齢の近い仲間同士で意識をもっと高め合い、チーム全体をリードできるような人になりたいです。そしてゆくゆくは、中北薬品全体を引っ張っていけるような存在を目指していきたいと思います。

みなさんの生の声を聞いて、私も刺激を受けました。私は監査役として全支店を巡回し、きちんとマネジメントできているかどうかを指導する立場ですが、みなさんのような意欲ある若手の力をもっと引き出せる体制にしていかなければといま強く思っています。中北薬品の経営に関わる一人として、社員全員が自分の力を出し切れるような環境を整え、中北薬品のさらなる発展につなげていきたいですね。






