2人の大ベテランに聞く、300周年を超えて継承したいこと

2人の大ベテランに聞く、300周年を超えて継承したいこと

中北薬品が創業したのは、江戸時代中期の1726年。現在の名古屋市で油屋としてスタートした中北薬品は、のちに人びとの健康に欠かせない医薬品を扱う企業へと大きく発展を遂げ、300年という歳月を重ねてきました。この長い歴史のなかで、いつの世も変わらず私たちが重んじてきたのは、人と人とのつながりです。ここでは、社会が大きく変化した20世紀末から21世紀初頭にかけて現場の第一線で活躍し、まさに中北薬品の理念を体現してきた2人の大ベテランに、若手社員たちが未来に向けて受け継ぐべきことをうかがいました。

PROFILE

  • 顧問

    渡邉 武朗

    1971年入社。医薬品の営業職でキャリアを積み、京町営業部長、医薬営業本部長を務めた後、常務取締役、専務取締役を歴任。2017年より顧問として中北薬品の経営を支援している。

  • 営業

    太田 栞

    2021年入社。生まれ育った愛知県に貢献できる企業を志望し、長く地域の健康を支えてきた中北薬品に魅力を感じて入社。現在は岡崎支店に在籍。

  • 営業

    平井 康之介

    2025年入社。学生時代のアルバイト経験で営業の面白さを覚え、医薬品を扱うことにやりがいを感じて中北薬品を志望。入社後は熱田支店に配属。

  • 営業

    江川 和樹

    2018年入社。本格的な高齢化社会を迎えて今後伸びていく医薬品業界に注目し、中北薬品を志望。入社後は厚木支店を経て、現在は名東支店に在籍。

  • 財務

    服部 真由子

    2022年入社。大学時代にコロナ禍を経験し、世の中の人びとの健康に貢献する企業で働きたいと中北薬品を志望。入社後は本社の財務部に所属。

  • 営業

    柴崎 晃匡

    2013年入社。地元愛知県で有名だった活命茶から中北薬品に興味を持ち、地域の医療に貢献できることに惹かれて入社。現在は金沢支店に在籍。

何よりも大切にしたのは、人と人とのつながり

柴崎

渡邉顧問は、長らく医薬品の営業でキャリアを重ねてこられたとのことですが、私もいま金沢支店で営業活動に取り組んでいます。北陸地域は、お膝元である東海地域と比べるとまだまだ中北薬品のシェアが低く、もっと開拓しなければと悪戦苦闘しています。顧問はかつて、こうした難しい局面をどのように乗り越えてこられたのでしょうか。

渡邊

私も若手の頃、まだ中北薬品のシェアが低かった名古屋市内の総合病院を担当することになり、必死に営業に取り組んだ覚えがありますね。地元には強力なライバルがいて、その医薬品卸と比べると10分の1しか売上がありませんでした。そこで、この病院内で一番になるためには何をすべきかを懸命に考え、とにかく訪問頻度を増やして院長や副院長、薬局長などのキーマンにまずは自分を売り込もうと。何度も顔を出すうちに「熱心なやつだ」と私のことを気にかけてくださり、病院内のいろんな医師や薬剤師の方々を紹介していただいて、ネットワークがどんどん広がっていったんですね。

江川

私も名古屋エリアで医薬品営業を担当し、医師の先生方との関係づくりにずっと力を入れて取り組んできました。いま顧問のお話をうかがって、そこまでお客さまに深く入り込んでいくのは本当に大変なことではないかと正直感じていますが、当時、ご自身のモチベーションは何だったのでしょうか。

渡邊

単純に悔しかったからですね。ライバルの医薬品卸に圧倒的に負けていることが悔しくて、やるからには、お客さまからはもちろん、ライバルからも認められるような存在になりたいと。そのために、まずはいま10%のシェアを15%にしようと目標を立てて努力した。それを達成したら、もっと高い目標を立てて向かっていくのが面白くなってきて、仕事に対して貪欲になってきたんですね。その間、絶えずお客さまのもとを訪問し、そのうち私をチームの一員のように接してくださるようになって、何か困ったことがあれば「中北薬品の渡邉に相談してみよう」と信頼いただけるまでになった。そこで、この仕事の要は人と人とのつながりだと実感し、それを何よりも大切にした結果、その病院内でのシェアは50%を超えるまで売上を伸ばすことができたのです。

平井

私はまだまだ営業として未熟ですが、上司や先輩方の指導を受けながら、いま顧問がおっしゃったような貪欲な姿勢でこれから仕事に取り組みたいと思います。早く一人前になって会社に貢献できるようになりたいです。

渡邊

頼もしいです。若手のうちはどんどん失敗すればいいと思いますね。積極的にお客さまとコミュニケーションをとって、たとえそれがうまくいかずに悔しい思いをしても、その経験が必ず自分の糧になる。中北薬品は失敗に寛容な懐の深い会社なので、ぜひ自分の思うように仕事をしてほしいですね。

効率化していいことと、効率化してはいけないこと

太田

顧問のお話をうかがって、あらためて人と人とのつながりが大切だと感じています。私も営業の現場に携わっていますが、何か問題に直面した時、お客さまや取引先のメーカーの方々、そして社内の上司や先輩方など、いろんな人とのつながりの中で解決してきました。

渡邊

そう。いくら社会が進歩しようとも、効率化していいことと、効率化してはいけないことがあります。たとえば、インターネットで容易に情報伝達できるようになりましたが、本当に大切なことは対面でないと伝わらない。お客さまとのコミュニケーションまで下手に効率化しようとすると、絶対に良い結果は出ません。直にお会いしていろんな話をするからこそ、自分という人間を理解いただいて、人と人とのつながりが生まれていく。それが物事を前に動かす力になっていくのだと思いますね。

服部

いま顧問がおっしゃった、人と人とのつながりは社内でも重要なことだと思っています。私は本社で財務を担当していますが、仕事を進めるうえでは社内のいろんな部署の人と関わっていかなければなりません。顧問も同じオフィスですぐ近くにいらっしゃるので、若手の私にもよく声をかけてくださりますし、ランチをご一緒することも。顧問は社内のコミュニケーションもとても大切にされている方だと感じています。

渡邊

先ほどお話しした、効率化していいこと、効率化してはいけないことというのは、社内にもあてはまると思っています。特に組織を管理する立場に就いてから、いっそう意識するようになりました。私は京町営業部長を務めていた時、100名ほどのメンバーを率いていたのですが、みんなと対面で話をすることを心がけていたんです。組織の全員に何かを伝える時、一斉にメールを送れば簡単ですが、人によって受け取り方が全然違う。こちらの思いをしっかり伝えようとするなら、やはり直に接して相手の気持ちも汲みとりながらコミュニケーションしなければなりません。そうした努力の甲斐あってか、京町営業部長時代に会社が嫌だと言って辞めたメンバーは一人もいなくて、それはいまでも私の誇りです。

江川

私も将来はリーダーを目指していきたいので、いま顧問がお話しされたようなマネジメントを意識していきたいと思います。そのほか、私たち若手がこれからもっと成長してお客さまに応えていくために、心がけておくべきことはありますか。

渡邊

やはり現状に満足することなく、自分の仕事を常に見直して、新しいことに挑戦しようという意識を持ってほしいですね。それは営業活動においてもそうだし、本社の業務においてもそう。服部さんも財務の枠にとらわれず、どんどん業務改善の提案をしてほしいし、私も顧問として、若手からの提案をもっと取り入れていく企業風土づくりを支援したいと思っています。

地域のために、中北薬品にしかできないことを

平井

これから営業としてもっと成長するために、顧問がおっしゃっている「人と人とのつながり」をどう実践し、どう自分の仕事につなげていくか、何かアドバイスをいただけるとうれしいです。

渡邊

お客さまに対しては、個の勝負。そのお得意先を任されているわけですから、自分が努力して信頼を獲得していくことが、会社の信頼につながっていきます。メーカーとのつながりも大切で、上手に付き合えば、いろいろと有益な情報を教えてくれて味方になってくださる。また、競合とも良いライバル関係を築けば、彼らの営業を参考にしつつ、自分なりに工夫をすることで切磋琢磨しながら成長できるんですね。そして、社内の人間とも信頼しあって協業することで、一緒に困難に立ち向かっていく力強い仲間となる。自分に関わるすべての人と深くつながりながら、今日よりも明日、明日よりも明後日を良くしたいという純粋な気持ちで仕事に臨んでほしいですし、その積み重ねが300年の歴史につながっているわけですから。

服部

中北薬品が時代の変化を乗り越えて300年も続いているのは、本当に凄いことだと思っています。顧問からご覧になって、中北薬品がここまで歴史を積み重ねることができたのは、どうしてだと思われますか。

渡邊

実は東海地方に本社を置く医薬品卸は、私が入社した当時は20社以上ありました。しかし、この50年ほどの間に合併や統合を繰り返し、いまや中北薬品ともう一社だけになっています。しかも、もう一社の競合と比べると当社の規模は圧倒的に小さい。それでも生き残っているのは、「信用・誠実・質素」の社訓のもと、地域に根ざして人と人とのつながりを大切にしてきたからです。その理念はこれからも継承していかなければならないと思いますね。

太田

医薬品の供給不足などが社会問題化し、また大手との競争もいっそう激しくなり、医薬品営業を取り巻く環境は厳しくなっていると感じています。私自身、地域で人と人とのつながりを大切にするなかで、その先どのような手を打てばいいのか、いつも悩んでいます。

渡邊

常に問題意識を持って仕事に取り組むのは良いことですね。大手との競争に苦労しているという話ですが、中北薬品が競合と決定的に異なるのは、「まちづくり活動」に取り組んでいること。この規模で150を超える自治体と、地域の健康支援のための包括連携協定を結んでいる企業は他にはない。それは当社にとって大きな価値だと思います。この「まちづくり活動」を通じて地域に寄り添って信頼関係を築き、社会評価を向上させることで事業発展につなげていくという、我々にしかできないことをもっと追求していきたいですね。

柴崎

次の300年に向けて、社長も「ずっと地域 もっと地域」というメッセージを社内に向けて発信しています。私も地域の医療に貢献したいという思いから中北薬品を志望した一人なので、会社の進む方向と自分のやりたいことがますます一致しています。こうして顧問とじっくりとお話しできる機会を得て、仕事への意欲がますます高まりましたし、中北薬品が未来に向けても必要とされる企業だという確信が持てました。

渡邊

いま柴崎君から話のあった「ずっと地域 もっと地域」に加えて、社長は「貪欲に徹する」「創造するために想像せよ」というメッセージも打ち出しています。社会に新しい価値を創り出すために、一人ひとりが自由に発想して、ぜひそれを実現しようと貪欲に行動に移していく。中北薬品をそんな人間の集団にしたいですし、ここで仕事をすることがこれからますます面白くなっていくと思いますね。当社の未来は、あなたたちのような若手の力にかかっているので、大いに期待しています。

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